お父さん大好きと言って欲しい

[カッコいいお父さん]「瑠璃~お風呂入ろうか!」「はぁい!」小学二年生。私とお父さんは毎日一緒にお風呂に入っていた。ザパーン!!キャハハと私は笑う。お父さんはかなり太っているのだ。多分100キロはある。そんなお父さんが湯船に浸かった瞬間に溢れ出るお湯の勢いの良さときたらもう最高だった。「瑠璃お父さんだーい好き!」「お父さんも瑠璃だーい好き! お母さんよりも好きぃ!」「あ!そうですか!」お風呂場の向こうからお母さんの声がする。「悪いな母さん!瑠璃が一番好きだー!」「ハイハイどうぞ結婚でもして下さいな!」笑顔の耐えない家庭だった。お父さんがもちろんお母さんもだけど大好きだった。幸せだった。そうあの日までは……

「え~明日は運動会です!みんな! お父さんとお母さんに いいところを見せましょう!」ハァイと手が挙がる。「ええっと…父兄参加の借り物競争には… 瑠璃ちゃんの家はどうだったかな?」「お父さんが出ます!」堂々と答えた。運動会当日。晴天に恵まれそつなく運動会は進んでいく。私は100メートル走で一位をとった。「キャー瑠璃凄い!!」お父さんとお母さんのはしゃぐ顔が見えた。エヘヘ!そして…父兄参加の借り物競争。お父さん…頑張っ…ん?ふと気付いた。周りがざわめいている…

「おい…あの親父誰の親父だよ… 超デブなんだけど…プッ」「あれはねぇよな!おい誰だ! あの親父誰の親父だよっ!」クラスのリーダー格矢島が叫ぶ。え…太ってるのって…恥ずかしい事なんだ…どうしよう…ば!ばれたくない!恥ずかしい…!!!私は真っ赤になって小さくなった。大丈夫…多分…ばれない…何も言わなければばれない!!!「誰だよ~」ギャハハと男子が笑う。消えたかった。パァン!!!ピストルが鳴る。お父さんは…一番後ろを一生懸命に走っていた。「やっぱデブだからビリだぜ~!」矢島が野次る。お父さんは最後に紙切れを拾った。そして…なんと「瑠璃ー!瑠璃!どこだぁ!?」う!嘘!?!?止めて!!来ないで…「瑠璃って…三谷の親父かよ! おいあの親父三谷の親父だってよ!!!」クラスの男子が一斉に笑う。私は涙をこらえるのに必死だった。「瑠璃いたいた!早く早く!」そんな私をお父さんは見つけ手を取り…最後にゴールした…「フゥ。久々に走って疲れたぁ! な!瑠璃…」遠くから聞こえる男子の笑い声…こらえていた涙がボロボロ溢れた…「ど!どうしたんだ瑠璃!?」「なんでもないの…」その日から私は一人でお風呂に入るようになった。

朝食も夕食もお父さんとはあまり口をきけなくなった。バァン!とお母さんが遂にテーブルを叩いた。「瑠璃!いい加減にしなさい! お父さんの何が気に入らないの! あんなに仲が良かったのに! はっきり言いなさい!」私は口をつぐんだ。こども心にお父さんのせいで本当はあれ以来男子に苛められている。だけど優しいお父さんが本当は…大好きで本当は学校に行くのが辛いだけどお父さんを…傷付けたくなかった。

「なんでもないよ… ごめんお父さん… 元気ないだけだよ…」「そ…そうか…お父さん… なんかしちゃったんだったら… ごめんな…またいつもの明るい 瑠璃に…戻ってくれるのを 待ってるよ…」お父さんが私をどれだけ好きか知ってる。だから自分のせいで苛められているなんて絶対に伝えたくなかった。そんなある日のホームルームだった。

「おはようみんな!」先生が挨拶をした瞬間。バァン!!!え…?物凄い音を立てて扉が開いた。そこに立っていたのは…お父さんだった。私はガタンと立ち上がった。見たこともないような物凄い形相でズカズカと教室に入りお父さんは私の胸ぐらを掴んだ。「誰だ…?」こ!怖い…!!!こんな怖いお父さん見たことな…「お前を誰が苛めているんだと 聞いてるんだよ!!!」「ヒィ!!」教室が静まり返る…「あ…あ…」「あ!?はっきり喋れ!!!」「あのっ!リーダー格は…と…隣の…矢島…」震える手で矢島を指先した。「ほぉ…テメェかよ……」矢島はガタガタ震えている。ただでさえ100キロを越えるお父さん。「ふざけんじゃねぇよ!!!」ガァン!!とお父さんは矢島の机を思いきり蹴り倒した。「あ……あ……」震える矢島の頭を鷲掴みにしかがんで目を合わせる。

「お前には親が居ねぇのか?」「は……?はい……?」矢島はガタガタと震えた声で答えた。「居ます…お父さんも…お母さんも…」「その父さんと母さんに大切に 育てられていねぇのか…?」「い!いえ!そんなことはありませ…」「だったらなんで分からねぇ!!」「ヒィィ!!」「自分のこどもが苛めにあっていると 知った時の親の気持ちを想像して見ろ! ふざけてんじゃねぇぞ 俺の悪口なんざどうでもいいんだ! 今度瑠璃を苛めてみろ! どうなるか分かって…」「すみませんでしたぁぁ!!!」矢島は泣き出した…。お父さんはそっと矢島の頭から手を離した…「お…お父さ…」「瑠璃には見せたくなかった…」「え…?」「こんな怖いお父さん見せたら… お父さん…瑠璃に嫌われちゃうと… 思っ…」お父さんは涙を落としながら教室を後にしようとした…「…お騒がせしました…」「…お父さん!!!」走った。お父さんの背中へと。「ありがとう…!ありがとう!!! 本当は辛かった! 学校に行くのが辛かった! ありがとう!!!」「瑠璃……」ワァンと二人抱き合って泣いた…「本来なら…私が気付かなければ いけなかった…この度は 申し訳ありませんでした!」先生はそんな私達に頭を下げた…翌日。家庭に明るさが戻ってきた。お母さんがクラスの女の子のお母さんから苛めの話を聞きお父さんに話したらしい。その足でお父さんは学校に乗り込んだようだった。

「お父さん、矢島がね…」「矢島?あぁあの苛めのか?」「お前の親父 メチャクチャカッコいいなって!! あれ以来仲良しなんだよっ!!」「…そうか」お父さんは嬉しそうに笑った。ハァと彼は溜め息をつく。「大丈夫だよ」私は言う。「だってよ…俺だぜ? 絶対あん時の事覚えてんぜ…?」「頑張って!」ガチャリと家の扉を開けた。お父さんが仁王立ちしていた。ほら、と彼の背を押す。「は!初めまして! ではないんですけど…あの…その… あの時は本当にすみませんでした! 俺本当は瑠璃さんが好きでっ… でもガキだったからどうすればいいか 分からなくてっ…苛める事でしか… 気持ち…表現出来なかっ…」彼は涙ぐんだ。

「矢島君か。」「お…俺の名前…」「あの時にしっかり顔を見たからね。」お父さんは彼に何かを手渡した。それは…クシャクシャの紙切れ。…?彼と二人でそれをそっと開いた。「あの時の借り物競争で拾った紙だよ」お父さん………「君に…渡してもいいんだね?」彼はボロボロ泣いた。「…はい!瑠璃さんは僕が!一生!! 幸せにします!!!」そこには……《世界で一番大切な人》と、書かれてあった……お父さん、本当にありがとう。あなたは私の誇りです。

感動するお話 子供が出来ない理由

【ここまで深い愛、葉子の秘密】
「こどもは三人欲しいなぁ! 一人目は女の子であとは男の子!」恋人時代の葉子の口癖だった。「俺が叶えてやるよ」
そう答える私に葉子は照れながら微笑んでいた。私30才、葉子27才であった。私達はめでたく結婚した。若くはないがなんとか頑張れば3人こどもが持てるかな?そう二人で笑って話していた。

しかし…一年経っても二年経っても私達にはこどもが授からなかった。私は一人っ子である。実家の母の強い奨めもあり私達は不妊治療の名医を訪ねた。藤崎先生と言った。とても穏やかで優しそうな先生だった。

「とりあえず検査をしてみましょうか。」そう言われ葉子は検査を、私も精液を提出した。「検査結果は一週間後に 出ますのでまたいらして下さい」

私達は病院を後にした。「原因が分かったら 不妊治療も出来るよね? もう私一人だけでもいい。」葉子は強がった。嘘つけ…あんなに3人欲しいと言っていたじゃないか…。葉子が不憫だっだ。葉子の願いは叶えてやりたい。それに母にも孫は抱かせてやりたい。私はそんな想いから病院を訪れることを決めたのだった。一週間後。本当なら二人で聞きに行くはずだった検査結果だったのだが、どうしても外せない会議が入った。

「すまない、葉子…。 心細いと思うが一人で 聞いてきてもらって 構わないだろうか…。」葉子は微笑んだ。「あなたにはしっかりと 働いてもらわなくっちゃね。 こどもも出来るのよ」本当に…いい女だ。会議が長引いた!「吉崎!飲み行くぞー!」「すみません!今日は 外せない用事があるんです!」私は家へと走った。何を言われたのだろう?葉子は大丈夫だろうか?頭の隅では最悪の事態も考えていた。

「葉子!」家に灯りが付いていない。いないのか??家に上がりリビングの電気を付けた。びっくりした。「よ…葉子!電気も付けないで どうしたんだ!?」目が真っ赤に腫れている。嫌な予感がした。「あなた…」うわぁぁんと葉子は泣いた。「私の…私の子宮には… 卵子が…卵子がないって… こどもは無理だって…こどもは…」私は葉子を抱き締めた。

「すまない… かけてやる言葉が見当たらない… あんなにこどもを 欲しがっていたお前にどうして… どうして…!神様がいるなら 私は殺してやりたい!」気付けば二人で大声で泣き続けていた…。何日かして私達は私の実家に来ていた。孫を楽しみにしていた両親はとても残念がった。そして今度は葉子の実家に事実を伝えにいった。葉子の父親は泣き崩れた。「克彦君…!すまない… 私は君のご両親に 合わせる顔がない!」「お父さん、僕は葉子さんの 人柄に惚れました。 こどもはいなくとも二人で 支え合い生きていきます。 顔を上げて下さい。」葉子も一人っ子だ。葉子のご両親もさぞかし辛かっただろう。帰り道。私は葉子に話した。「葉子、ひとつだけ約束してくれないか」「え?」「私より先に死なないでくれ。」「…はい。」手を繋いで帰った。時は穏やかに流れた。

私51才、葉子48才の時だった。葉子は横断歩道を青信号で横断中脇見運転のトラックにはねられた。即死だった。ばたばたと葬儀をすませ一段落し私は和室で葉子のお骨と二人きりになった。「葉子…」突然すぎて頭が真っ白なままだった。「約束したじゃないか…! 二人で生きていくと! 私より先に死なないでくれと 約束したじゃないか……!」葬儀では必死にこらえていた涙が一気に溢れた。可愛い葉子…優しい葉子…私の大好きな葉子…私は何時間も何時間も泣いた。


その時であった。ピンポンとチャイムが鳴った。葉子の友人が線香でもあげにきてくれたのだと思い私は扉を開けた。初老の男性であった。「あの…どちら様でしょうか」「藤崎と申します。 もうお忘れかと存じますが あなた方夫婦の不妊治療の 担当をさせていただきました。 思い出して頂けたでしょうか?」

「…ああ!」思い出した。「ニュースで事故を知りました。 葉子さんに線香をあげさせて下さい。」なんと慈悲深い方なのだ。たくさん受け持ったであろう患者の一人に過ぎない私達夫婦の事を覚えていてくれていたなんて…。私は感動した。「どうぞあがって下さい!葉子も喜びます」葉子の遺影を前にして藤崎さんは涙した。「どうして…どうしてこんな 愛情深い方がこんな事に…!」嬉しかった。「全くです… 神様なんてきっといないんです。 あんなにこどもを欲しがった葉子の体に 卵子を与えなかったのだから… そしてこの事故死…」

「…やはり奥様はそう言いましたか。」え?「奥様が墓場まで持ち込んだ秘密を 私が暴露してよいものか大変悩みました! これを話してよいものか夜通し考えました! しかし…しかし…奥様があまりに不憫で… 不妊治療に当たって30年、 私はここまで深い愛を 見たことがありません!」藤崎さんはオイオイと泣き出した。

なんだ…?どうやら私の知らない葉子の秘密を知っているらしい。「真実を受け止める勇気はありますか?」「はい。葉子の事ならば 全てを受け止めます。」彼は…衝撃の事実を告げた。「あなた方夫婦に こどもが出来なかった本当の原因は… あなたにあったのです!」え………頭が真っ白になり血の気がサァーっと引いていった…。

「あなたの精液には… 精子が全く存在しませんでした… 無精子症候群です。 奥様の体にはなんの問題もなかった! この事を彼女に告げると彼女は言いました。 この話はここだけの話にして欲しいと。 彼は優しい人だからこの事実を知れば 必ず自分を責める。 私がこどもを欲しがっているのを 誰より知っているから。 今のうちにきちんと男性機能のある人を 見つけ直した方がいいとまで言い兼ねない、 そんな人です。 原因は私にあった。 私に卵子が存在しなかった! そういう事にして下さい! 私達夫婦の事はどうか忘れて下さい! お願いします…お願いします… そう言って奥様は泣き崩れました。 こんなにも深い愛を持った方には 私は生まれて初めて出逢いました! あなた方夫婦の事は 忘れることが出来なかった… だからニュースを見て いてもたっても居られずカルテをあさり ここの住所を見付けたのです。

 あなたは…あなたは世界一の 幸せものです!」葉子……お前…お前…「葉子…!馬鹿野郎!」私は叫んだ。「どうして本当の事を 言ってくれなかったんだ! どうして私にすまないと 謝らせてくれなかったんだ! 男性機能のある人を見つけろだと? 私がそんな事言うわけないじゃないか! お前なしで生きていける訳ないじゃないか! こんな私だけど捨てないでくれと すがっていたよ!葉子…葉子… ありがとう……本当にありがとう……!」神様…殺したいなどと言って申し訳ありませんでした。二つお願いを聞いて下さい。生まれ変わっても葉子と出逢わせて下さい。そして今度こそ私に男性機能を与えて下さい。葉子…!また会おうな!約束する!今度こそ…今度こそ3人のこどもを抱かせてやるぞ!


ありがとうございます。

茶まん


離婚の条件

とある夫婦の感動する話。仕事から帰宅すると、妻は食事の支度をととのえていた。僕は彼女の手をにぎり「話があるんだ」と切り出した。妻は何も言わず席についた。その目は苦痛に満ちていた。

ふと、僕はどう切り出したらいいのか分からなくなった。でも言わなければならない。「離婚したいんだ」と。僕は冷静に、その言葉を口にした。妻は大したリアクションも見せず、ただ静かに聞き返した。「どうして?」その問いに敢えて答えないでいたら、妻はとうとう怒りをあらわにした。彼女は箸を投げ散らかし叫んだ。「あんたなんか、男じゃない!!」その夜、その口論のあと僕らはとうとう一言も言葉を交わさなかった。妻のすすり泣く声がかすかに聞こえた。わかっている。どうして僕らがこうなってしまったのか、妻はその理由を知りたがっているのだ。でも僕は、彼女を納得させられるような説明をとうてい与えられるはずはなかった。

それもそのはず。僕は「ジェーン」という他の女性を愛してしまったのだ。妻のことは、、、もう愛していなかった。ただ哀れんでいただけだったのだ!深い罪悪難に苛まれながら、僕は離婚の「承諾書」を書き上げた。その中には、家は妻に譲ること、車も妻に譲ること、僕の会社の30%の株も譲渡することを記した。彼女はそれをチラと見ただけで、ビリビリと破り捨てた。僕がこの10年という月日を共に過ごした、この女は僕にとってもはや「見知らぬだれか」に成り下がっていた。彼女が今まで僕のために浪費した、時間、労力、エネルギーに対しては、、、本当に申し訳ないと思っている。でも自分が「ジェーン」を愛しているという気持ちに、これ以上目を背けることは出来なかった。承諾書を破り捨てたあと、妻はとうとう大声をあげて泣き始めた。ヘンな言い方だが、僕はその彼女の泣く姿を見て少しホッとしたのだ。これで離婚は確定だ。

この数週間、呪いのように頭の中につきまとっていた「離婚」という二文字は、これでとうとう現実化したのだ。その翌日、僕は仕事からかなり遅くに帰宅した。家に戻ると、妻はテーブルに向かって何かを一生懸命に書いていた。夕食はまだだったが食欲など到底なく、僕はただベッドに崩れるように倒れ込み寝入ってしまった。

深夜に一度目が覚めたが、その時も妻はまだテーブルで何かを書いているようだった。僕はもはや大した興味もなく、ふたたび眠りについた。朝になって、妻は僕に「離婚の条件」とつきつけてきた。彼女は家も車も株も、何も欲しくないと言った。でもその代わりに「1ヶ月間の準備期間」が欲しいと言ってきた。そして彼女の条件は、その1ヶ月のあいだ出来るだけ「今までどおり」の生活をすること。その理由は明確だった。僕らの息子が、1ヶ月後にとても大切な試験を控えているためできるだけ彼を動揺させたくないというのが、彼女の言い分だった。それに関しては、僕は即座に納得した。だが、それ以外にもうひとつ妻は条件をつけてきた。「私たちが結婚した日、あなたが私を抱き上げて寝室に入った日のことを思い出してほしい」と。そして、これからの一ヶ月のあいだ、あの時と同じようにして毎朝、彼女が仕事へ行くときに彼女を腕に抱き上げて 寝室から玄関口まで運んでほしいと言うのだ。僕は「とうとうおかしくなったな・・・」と思った。でもこれ以上妻といざこざを起こしたくなかった僕は、黙って彼女の条件を受け入れた。

僕は「ジェーン」にこのことを話した。ジェーンはお腹を抱えて笑い、「ばかじゃないの」と言った。今さら何をどうジタバタしたって離婚はまぬがれないのにとジェーンは嘲るように笑った。僕が「離婚」を切り出して以来僕ら夫婦はまったくスキンシップをとっていなかった。なので彼女を抱き上げて玄関口まで連れていった1日目僕らは二人ともなんともヘンな感じで、ぎこちなかった。それでもそんな僕らの後ろを、息子はそれは嬉しそうに手をパチパチ叩いてついてきた。「ダディーがマミーを抱っこして『いってらっしゃい』するよ!」その言葉を聞くなり、僕の胸はきりきりと痛んだ。寝室からリビングへ、そして玄関口へと僕は妻を腕に抱いたまま10メートルは歩いただろうか。妻は目を閉じたまま、そっと「どうかあの子には離婚のことは言わないで」と耳元でささやいた。僕は黙ってうなずいた。でもなぜか、そうしながら心はひどく動揺していた。妻をドアの外に静かにおろすと、彼女はそのままいつものバス停へ向かって歩いていった。僕もいつもどおり車に乗り込み仕事へ向かった。

2日目の朝初日よりは少しは慣れた感があった。抱き上げられながら、妻は僕の胸に自然ともたれかかっていた。僕はふと、彼女のブラウスから薫るほのかな香りに気づいた。そして思った。こうして彼女をこんな近くできちんと見たのは、最後いつだっただろうかと。。。妻がもはや若かりし頃の妻ではないことに、僕は今さらながら驚愕していた。その顔には細かなシワが刻まれ髪の毛には、なんと白いものが入り交じっている!結婚してからの年数が、これだけの変化を彼女に。。。その一瞬、僕は自問した。

「僕は彼女に何てことをしてしまったのだろう」と。4日目の朝彼女を抱き上げたとき、ふとかつて僕らの間にあった、あの愛情に満ちた「つながり感」が戻ってくるのを感じた。この人はこの女性は僕に10年という年月を捧げてくれた人だった。5日目、そして6日目の朝その感覚はさらに強くなった。このことを、僕は「ジェーン」には言わなかった。

日にちが経つにつれ妻を抱き上げることが日に日にラクになってゆくのを感じた。なにせ毎朝していることなので、腕の筋力もそりゃ強くなるだろうと僕は単純にそう考えていた。ある朝、妻はその日着てゆく服を選んでいた。鏡のまえで何着も何着も試着してそれでも体にピッタリくる一着が、なかなか見つからないようだった。そして彼女は「はあ~っ」とため息をついた。「どれもこれも、何だか大きくなっちゃって。。。」その言葉を耳にして、僕はてハッ!とした。妻はいつの間にやせ細っていたのだ!妻を抱き上げやすくなったのは、僕の腕力がついたからではなく彼女が今まで以上に軽くなっていたからだったのだ!愕然とした。それほどまで、やせ細ってしまうまで彼女は痛みと苦痛を胸のなかに。。。僕は思わず手を伸ばして、妻の髪に触れていた。そこに息子がやってきた。「ダディー、マミーを抱っこして『いってらっしゃい』する時間だよ!」息子には、父親が母親を毎朝抱き上げるこの光景を目にすることがすでに大切な日常の一場面となっているようだった。妻は、そんな息子にむかって「おいで」と優しく手招きしたかと思うと彼を力いっぱいぎゅっと抱きしめた。僕は思わず目をそらした。そうしないと、最後の最後で、気が変わってしまいそうだったからだ!僕はだまって、いつものように妻を腕に抱き上げ寝室から、リビング、そして玄関口へと彼女を運んだ。妻はただそっと、僕の首に腕を回していた。そんな彼女を、気づいたら強くグッと抱きしめていた。そうまるで、結婚したあの日の僕のように。。。

彼女の、それはそれは軽くなった体を腕のなかに感じながら僕は例えようのない悲しみを覚えていた。そして最後の朝、妻を抱き上げたとき僕は、一歩たりとも歩みを進めることができなかった。その日息子はすでに学校へ行ってしまっていた。僕は妻をしっかりと腕に抱き、そして言った。「今まで気づかなかったよ。僕たちの結婚生活に、こうしてお互いのぬくもりを感じる時間がどれほど欠けていたか・・・」そして僕はいつもどおり仕事へ向かった。何かにせき立てられるように、とにかくここで、最後の最後で自分の決心が揺らいでしまうのが怖くてそれを振り切るかのように、車を停めると鍵もかけずに飛び出しオフィスのある上の階まで駆け上がっていった。気が変わってしまう前に、オフィスへ行かなければ。早く「ジェーン」のもとへ!ドアを開けるとそこに「ジェーン」がいた。彼女を見た瞬間、僕は思わず口にしていた。「ジェーン、すまない。 僕は離婚はできない。」「ジェーン」は「はあ?」という目で僕を見つめそして額に手をあてた。「あなた、熱でもあるの?」僕はジェーンの手を額からはずし、再度言った。「すまない、ジェーン。僕は離婚はできないんだ。」「妻との結婚生活が『退屈』に感じられたのは、彼女を愛していなかったからではなく僕が毎日の小さな幸せを、他愛のない、だけどかけがえのない小さな日常を大切にしてこなかったからなんだ。今頃になって気づいたよ。あの日、あの結婚した日僕が彼女を腕に抱いて家の中へ初めての一歩を踏み入れたあの日のように僕は死が二人を分つまで、彼女をしっかり腕に抱いているべきだったんだ!」「ジェーン」はようやく事の次第を理解したようだった。そして僕のほっぺたを思いっきりひっぱたくと、扉をバタン!と閉めワーッ!と泣き叫びながら飛び出して行った。僕はそのまま黙って階下に降りた。見ると、花屋が目にとまった。僕はそこで、妻のためのブーケをアレンジしてもらった。店員が「カードには何とお書きになりますか?」と聞いてきた。僕はふと微笑んで、言った。「そうだね、こう書いてくれ。」『毎朝君を腕に抱いて見送るよ。死が二人を分つ、その日まで...』その日の夕方、僕は妻への花束を抱え、顔に笑顔をたたえて家についた。はやる気持ちで階段を駆け上がる!早く早く!妻のもとへ!出迎えてくれた妻はベッドで冷たくなっていた。。。。何も知らなかった。僕は、何も知らなかったのだ。妻が「ガン」であったことさえも。ジェーンとの情事にうつつをぬかしていた僕は、妻がこの数ヶ月必死で病魔と戦っていたことに気付きさえしなかったのだ!妻は分かっていたのだ。自分がもうじき死ぬことを。彼女が出してきた「離婚の条件」は僕を責めるものではなく、僕を救うためのものだったのだ!自分亡き後、最愛の息子から僕が責められることがないように。毎朝お母さんを抱き上げて優しく見送るお父さん。そう、そういう僕を毎朝見ていた息子にとって僕はまぎれもなく「お母さんに離婚をつきつけたお父さん」ではなく「お母さんを最後まで愛したお父さん」となったのだ!僕はどうしても皆さんにお伝えしたかった。日々のささやかな幸せ、、、それが人生で何よりも大切であるということを。幸せは大きな家、土地、高価な車、または銀行の残高、、、そんなものの中にあるのではないということを。

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